「進学校の高校に入学できたけどすぐ不登校になってしまった」
「子供が急に不登校になってしまったけど進学校特有の原因があるのか」
進学校に通う高校生のお子様が急に不登校になってこのように悩みを持つ保護者の方が毎年多くいらっしゃいます。進学校の高校生は頭がいい生徒がほとんどで、進学校ならではの悩みを抱えながら通っている生徒もいるかもしれません。
今回は進学校の高校生の不登校の原因や対処法についてお話しします。
進学校に通う高校生が不登校になる割合
(参考:https://www.mext.go.jp/content/20201015-mext_jidou02-100002753_01.pdf)
まず、高校生の不登校の割合について見ていきましょう。
文部科学省の調べによると、高校生の不登校の状況は令和2年度では43051人(1000人当たり13.9人)で、前年より7000人減少し過去最高記録の平成16年度の67500人(1000人当たり18.2人)に比べ減少傾向にあることがわかります。減少傾向である理由は、コロナ感染回避による休校や他学校への転校などが考えられます。進学校から通信制高校に転校すると登校必須日数が年間5日になり、不登校扱いにならない場合があります。このような理由で不登校生徒の人数が少なくなっても、進学校で卒業できない生徒がいることもあります。
(参考:https://www.mext.go.jp/content/20201015-mext_jidou02-100002753_01.pdf)
上のグラフは各都道府県別の不登校の高校生の割合です。
全体の約半分の都道府県が全国平均値を超え、人が多く集まる首都圏や大都市なども割合が高い傾向にあります。
特に滋賀県、宮崎県、大阪府など1000人当たり23人が不登校になっています。一番割合が高かった滋賀県の高校生の不登校の状況は、コロナ禍が影響したと考えられています。コロナ禍によって、交友関係の縮小や登校意欲の減少など、地域全体的にコミュニケーションがとりにくい状態になったことも原因の一つと考えられています。
そのなかで、進学校の高校生が不登校になってしまう理由はどんなことが多いのでしょうか?次の項目で詳しくご説明します。
進学校に通う高校生が不登校になってしまう理由
受験で燃え尽きた
高校1年生に多い症状です。進学校は入学試験の難易度や倍率が高いことが多いので、受験にたくさんの勉強時間を費やし塾に通い、友達と遊ぶ時間を削ってしまうことがあります。そのため、受験が終わったら勉強から一気に解放された影響で、勉強に集中できなくなり授業についていけずにストレスや疲れを感じてしまうことがあります。これは「バーンアウトシンドローム」とも呼ばれ、心身が疲弊することで勉強意欲が失われます。真面目に勉強を頑張ってきた高校生に多く見られる症状で、燃え尽きた状態が続くと不登校になる可能性があります。
ハードスケジュールによる疲れ
高校生は学校の授業や宿題に加えて、部活動や予備校、アルバイトなどの活動にも取り組むことがあります。多忙なスケジュールは、十分な休息や自己ケアの時間を確保することが難しくなるため、身体的・精神的な疲労が蓄積されます。
ハードスケジュールによる疲れは、睡眠不足や食事のバランスの崩れ、運動不足などの影響も与えます。十分な睡眠や栄養を取ることは、学習や体力の維持に不可欠ですが、忙しいスケジュールでは十分な時間を確保することが難しくなり、疲労が十分に回復しないまま毎日を過ごすことが多くなります。また、ストレスや心理的な負担を増加させる要因ともなり、時間の制約や多くの責任を抱えることで、高校生は焦りや不安を感じ心に負担がかかります。これにより、学校へ行くことが困難になり、不登校に至る場合があります。
ライバルと自分を比べてしまう
進学校では、優秀な生徒が多く集まり競争が激しくなるため、その中で自分が他の生徒に比べて劣っていると感じると自信を失い、不登校につながることがあります。中学時代は学年内で上位に位置付いてた生徒が、高校に進学するとライバルも同じレベル帯の子が集まり、同じ順位を維持できなくなることでストレスを感じます。
自分と比べて優れたと思われる他の生徒の存在によって、自己評価が低下し、自信を喪失することがあります。また、周囲の期待や社会的なプレッシャーも劣等感を引き起こす要因となります。
劣等感が強いと、自己肯定感が低下し、学校へ行くことや勉強に取り組むことが苦痛に感じられるようになります。他の生徒と比較して自分が劣っているという思いが強まり、学校へ行くことを避けたり、自己防衛のために不登校になる場合があります。
人間関係がうまくいかない
前のポイントでもご説明した「ライバルと自分を比べてしまう」にも関係しますが、高校生は他の生徒との競争や自身の期待やプライドとの衝突が起きることで、イライラやストレスが生じます。イライラから友達と意見の衝突したり、プライドが高いと人間関係に支障をきたすことがあります。
これらの問題は、高校生の未熟な社会的なスキルや心理的な成熟度によっても影響を受け、十分なコミュニケーション能力や共感力を持たない場合、人間関係のトラブルが解決しづらくなる傾向です。加えて、プライドや自己主張が強い場合、他者との妥協や協力が難しくなります。
このような状況でイライラが募り、人間関係が上手くいかないと、学校への抵抗感や不登校へと繋がることがあります。
親がしてあげられることとは
休ませてあげる
不登校の高校生にとって、身体的・精神的な疲労やストレスが重要な要素です。親が理解し、受け入れることで、学校へ行くことに対するプレッシャーや負担が軽減されます。
まず、お子様の様子をよく見て、不登校の原因を理解することが大切です。それが休ませるべき期間や方法の判断材料になります。一時的な休暇や短期間のリフレッシュが必要な場合もあります。
ただし、休ませることは一時的な措置であり、長期間にわたって不登校が続く場合には、学校や専門家の支援を受けることが重要です。それらと連携し、再び在学校への復帰や他学校に転校などの適切なサポートプランを立てることが必要になる場合もあります。
お子様が学校復帰できる体力を回復するまで休ませてあげましょう。
コミュニケーションを大切にする
お子様とのコミュニケーションを大切にすることで、彼らの不登校の原因や感情を理解し、適切なサポートを提供することができます。
まず、お子様の話に耳を傾けましょう。お子様が何を感じ、何に悩んでいるのかを真剣に聞き、受け入れることが重要です。話し相手になって、お子様がなんでも話せる環境を作りましょう。
また、不登校をネガティブに話すのではなく、共感と理解を示すことも重要です。お子様の感情や経験を受け入れ、励ましや支えの言葉を掛けることで、安心感や自己肯定感を与えることができます。
慎重にはなりますが、親としての気持ちや期待を伝えることも大切です。お子様に対して、学校への復帰や適切なサポートを望んでいることを伝えましょう。しかし、一方的に要求するのではなく、お子様の意見や意向も尊重することが重要です。
コミュニケーションを大切にするためには、時間を確保し、家族での会話をたくさんしたり一緒に出掛けることも効果的です。食事を一緒に摂る、一緒に散歩するなど、日常的な接触を通じて絆を深めることができます。
また、学校・カウンセラー・病院などのフォーマルな社会資源や、家族・友達・学習機関(塾、不登校専門家庭教師、サポート校)などのインフォーマルな社会資源が包括的なサポートをすることも重要です。お子様の準備が整っていないときは、積極的に情報収集や事前に相談に乗ってもらうなど準備をしておきましょう。
生活リズムを整える手助け
規則正しい生活リズムは、お子様の健康や勉強にとって重要です。親は子供の生活リズムを整える手助けをすることで、彼らの不登校の改善に役立てることができます。
まず、規則的な睡眠環境を整えましょう。十分な睡眠を確保するために、子供に対して寝る時間や起きる時間を設定し、守れるように食事の時間を決めたりするなどして促しましょう。寝る前にリラックスするためのルーティンを作ることも助けになります。また、食事のバランスも重要です。栄養豊富な食事を与えてあげましょう。適切な栄養を摂ることで、体力や集中力が向上し、学校へのモチベーションも高まります。さらに、適度な運動やリラックスの時間を取ることも大切です。お子様に適切な運動や休息の機会を提供し、ストレスを軽減することができます。散歩やストレッチ、趣味の活動など、子供が楽しんで行える活動をさせてあげましょう。
生活リズムを整える際には、お子様の意思も大切です。一緒にスケジュールを作成し、目標を立てることで、自己管理能力を身に着けることもできます。
最も大切なことは、お子様のペースを尊重することです。一方的に強制するのではなく、子供とのコミュニケーションを通じて彼らが快適に過ごせる生活リズムを見つけることが大切です。
生活リズムを整えることは、お子様の安定感やモチベーション向上に繋がります。保護者の方がサポートし、不登校の改善を目指しましょう。
学校復帰以外の選択肢を教える
お子様に、学校復帰が唯一の解決策ではないことを伝えることも大切です。不登校の原因や状況によっては、学校復帰が適切な選択肢である場合もあります。
現在在籍している進学校が合わないと感じたら、ほかの進学校に編入できるかどうか調べてあげましょう。また、進学校のレベルが高いと感じている場合は、他の高校の偏差値と比較したり校風を調べたりしましょう。また、定時制高校や通信制高校なども学校によって編入の受付をしているところもあります。お子様と今後について話し合い、このような選択肢を教えてあげましょう。進学校じゃないと大学に入れないんじゃないかとご心配されると思いますが、最近では通信制高校からも難関大学の合格者を多く出している学校もあります。学校選びの時、学校ごとの進学先の実績など調べて情報収集してみてください。
お子様に選択肢を示す際には、彼らの興味や目標を尊重し、意見を聞くことも重要です。話し合いから可能性を探り、将来についての選択肢を開くことが大切です。ただし、選択肢を提供する際には、適切なサポートや指導が必要です。専門家や教育機関との連携や相談を通じて、最適な選択肢を見つけることも可能です。
親が学校復帰以外の選択肢をお子様に示すことで、彼らの選択の幅が広がります。子供の興味やニーズに合わせた柔軟な学習環境を提供し、お子様にとって最適の環境で過ごせるようにサポートしてあげましょう。
まとめ
本日は、進学校の高校生が不登校になってしまう原因と対処法についてお話ししました。ご自身の高校生のお子様が不登校でもコミュニケーションを大切に問題解決していきましょう。物事を深く考えられる賢いお子様だからこそ壁に当たったり問題解決にあたり困難があるかもしれません。そんな時はひとりで悩まずに学校の先生や専門家にご相談ください。
WILL学園では高校生の転編入もいつでも受け付けています。大学受験も目指すことができるようにサポートします。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
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