高校生なんてまだ子供だし、自立して社会に出ている訳でもないのにうつ病になるなんて有り得ない。実はそんな事はありません。多感な時期である思春期の真っ只中にいる高校生だからこそ、様々な事情で精神的に不安定になってしまい、中にはうつ病を発症してしまうケースもあります。
実際に最近のコロナ禍におけるアンケート調査で、高校生の3割が中程度以上のうつ病の症状を抱えているというデータが得られたという報告もあります。(国立成育医療研究センター「コロナ×こどもアンケート第4回調査報告書より)
この記事では高校生がうつ病になってしまう理由と、そうなってしまった時に起こりえる事柄、その時に親がしてあげられる事を解説していきます。
高校生がうつ病で学校に行けなくなってしまう理由
では一体どんな理由でうつ病を発症するまで精神的に追い詰められてしまうのか。もちろん個人差はあると思いますが、高校生特有の考えられる理由を解説していきます。
友達や先生との人間関係
まず今置かれている環境での人間関係が考えられます。友達、先生のほんの些細な言動や行動がきっかけで上手く溶け込めなくなってしまう。何となくの苦手意識から上手くコミュニケーションが取れなくなってしまう。など、多感な時期だからこその繊細な理由で悩んでしまう事も少なくないと言えます。ましてや「いじめ」という現実も現時点では根絶する手段はありません。
勉強に対するストレス
高校ではそれまでの義務教育と違い、真面目に授業を受けているだけでは勉強についていけなくなってしまう、というケースも有り得ます。ましてや進学校ともなれば、ハイペース、ハイレベルな授業だけでなく、帰宅してからも大量の課題をこなさなければならなかったり、休日返上で塾に通うなんていう事も必要になってくるかと思います。自由な時間が取れない、気が休まらない、となってくると、精神的にまいってしまうという事も大いに有り得ます。
将来への不安
高校生という時期はその先の大学進学や就職など、初めての大きな人生の岐路といっても過言ではありません。特に3年生であればその事実は大きくのしかかってくる筈です。その先の人生に大きく関わり、失敗できないというプレッシャーから逃げ出してしまいたくなるという事も考えられます。
生活習慣の乱れ
中学生と比べても自我がより強くなり、一人で出来る事も増える高校生。アルバイトを始めてお金も自由に使えるようになってくる子供もいる事でしょう。夜遅くまで起きていてゲームをしていたり、友達とスマホでSNSに夢中になったりと生活習慣が乱れてしまう事も多くなってきます。不規則な睡眠や昼夜逆転などはうつ病発症のリスクを高めるとされています。
周囲に対する劣等感
多感な時期なので、クラスメートと比べて勉強や運動が劣っていると感じて思い悩んでしまう事も有り得ます。中学で成績トップクラスだった場合でも、高校に入学すると周りは同程度の学力が集まってきている訳で、なかなか上位に入れない。また部活でスポーツに打ち込んでいた場合でも同様に思ったように活躍出来ないといったケースで落ち込んでしまうことも考えられます。
発達障害等の二次障害
発達障害の傾向がある子供の場合、学校生活において叱られる事が多かったり、いつも騒ぎの中心にいると勘違いされてしまう事も少なくありません。その為、セルフエスティーム(自己肯定感)が低下してしまい、二次障害的にうつ病などの精神疾患を併発することがあります。
このように高校生特有の落とし穴はたくさん存在しますので、うつ病発症まで至らなかったとしても、不登校になってしまうケースが少なくない事も頷けます。
高校生が学校に行けなくなってしまうとどうなるか
高校は義務教育ではありませんので、学校に行けなくなってしまうと色々な問題が出てきます。起こりうる問題をいくつか見ていきましょう。
勉強が遅れてしまう
義務教育と比べて勉強の質も上がってくる高校では、普通に授業を受けているだけでもついていけなくなってしまう可能性があります。そんな中で何日も休んでしまったら自習で取り戻すのは難しくなってしまうでしょう。ましてや進学校だった場合、復帰するのは絶望的になってくるかも知れません。
単位が足りなくなってしまう
高校では義務教育と違い、進級、卒業する為に必要な単位を取得しなければなりません。テストの点数はもちろんですが、必要な出席日数を満たしていないと単位が取得できなくなってしまいます。学校に行けなくなってしまって勉強が遅れてしまうという心配以前に出席日数は大きな問題になってくるでしょう。
希望する進路に進めなくなる
大学や専門学校に進学する場合、必要な学力や出席日数を満たしていない事で、希望通りの進路に進めなくなってしまいます。学校の推薦が必要な場合も必要基準を満たしていないと受ける事が出来ないので、結果として後の就職にも影響が出てしまい、選択肢が減ってしまいます。
学校にいられなくなる
単位が足りずに留年してしまった場合、一定数は自主退学を選択していることも事実です。学校によっては一定の規定を設けており、強制的に退学となってしまう場合もあります。どちらにせよ、最終学歴が中学卒業となってしまい、現代だと希望の職種につけないどころか正規雇用を探すのも難しく、アルバイトでも時給に差が出てしまう場合もあります。
このように高校で学校に行けない状態になってしまうと、その後の人生に大きく関わる問題が起きてくることも事実です。では家庭ではどう対処していけばいいのか。次項で解説していきます。
高校生のうつ病の子供に親がしてあげられることとは
うつ病を発症して学校に行けなくなってしまったら、もう未来は閉ざされてしまい、希望する進路には進めないのか。決してそんな事はありません。状況の改善の為に親がしてあげられることを順に紹介していきます。
学校に行かなくてもいいと伝える
学校に行かない事が悪い事だという認識は子供にもありますし、勉強や将来の事を考えて焦っているがどうしても学校に行けないというケースもあると思います。そんな時に親が叱ってしまっては子供はさらに追い詰められてしまい、逆効果になってしまいます。無理に学校に行かなくていいと伝える事で、追い詰められた子供の気持ちを軽くしてあげる事が出来ます。
子供の話に耳を傾ける
学校に行きたくない理由を無理に聞き出すのは確実に逆効果になってしまいます。まずは他愛のない世間話などをたくさんするようにして、子供の話をよく聞いてあげるようにしてください。そうすることで気軽に何でも話せる環境が出来、子供も自分の話をちゃんと聞いてくれると思うようになるので、時期がきたら学校に行けない理由を自分から話してくれたり、相談してくれるようになるでしょう。焦らず、子供の気持が落ち着くのを待ちましょう。
学校と連絡を取り合う
教科によって単位取得に必要な出席日数が決まっていますので、担任の先生と連絡を取り合い、あと何日休んでも大丈夫かなど、情報を共有するようにしてください。また学校によっては保健室で授業をするなどの別室登校や単位取得の為に特別な措置をしてくれるなど対策を取ってくれる場合もあるので、情報共有をしましょう。学校によってはスクールカウンセラーがいる場合もあるので、相談して専門家のアドバイスを受けましょう。
情報を集める
市区町村に不登校に関する相談が出来る専門の機関がいくつかあるので、可能な限り情報を集めて、子供が回復して来たときに適切な対応が出来るように準備をしておきましょう。同時に自宅で勉強が出来る家庭教師や通信教材なども探しておくと、勉強の遅れを最小限に留めることが出来ます。
違う学校に通う
現在の環境をガラッと変えたい場合、転校や編入を検討するのも有効と言えます。他の全日制高校という選択肢の他にも「定時制高校」や「通信制高校」という選択肢もあります。とくに毎日通学が難しい場合には通信制高校であれば自宅の勉強をメインに、少ない通学で単位を取得できたり、様々なコースが用意されている場合があるので、無理なく高校卒業を目指せます。
このように親が出来ることはたくさんあり、それは親にしか出来ないことでもあります。焦らず向き合って行くことが大切です。
まとめ
現代では、高校生だからこそうつ病になってしまうという事例も少なくないことがおわかりいただけたと思います。ですが、しっかり向き合っていけば未来を切り開けるという事実もありますので、無理せず、焦らず、子供と家庭に合った方法を探していきましょう。
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