「中学生の子供が不登校になってしまったが、どう接したらいいのかわからず、はっきりとした原因がわからない。」「子供の事はわかっているつもりだったが、わからなくなってしまってた。自分が予期できない原因があるのではないかと心配している。」子供が不登校になったら親なら誰しもが悩む筈です。この記事では近年増加傾向にある子供の不登校の原因を学校生活の面、家庭環境の面、それぞれ解説していきます。
不登校の子供が増えている?
ニュースなどでも取り上げられているので耳にした方も多いかと思いますが、子供の不登校は年々増加傾向にあり、令和3年度の小中学生の不登校は24万人余りと前の年度より約49000人多く、25%増という調査結果があります。具体的な数字を挙げると小学生が8万1498人、中学生が16万3442人という内訳になり、この結果は過去最多で、調査を実施した文部科学省は、「コロナ禍による環境の変化が子供達にも影響を与えた」としています。
不登校の小中学生の増加は実に9年連続で、10年前と比べて小学生が3.6倍、中学生が1.7倍に増えていて、特に中学生は20人に1人が不登校という計算になります。文部科学省はこうした事実から、「コロナ禍での生活環境の変化や学校生活における様々な制限が交友関係などに影響し、登校する意欲が湧きにくくなったのではないか」と分析しています。
まさに現代は、昨日まで元気に登校していた子供でも、勉強や運動が出来る子供、友達がたくさんいる人気者の子供でも、誰が不登校になってもおかしくない時代と言えるでしょう。ですので、あまり心配しすぎず、原因や対策について正しい知識を持って対応して行くことが重要と言えます。
では、実際に不登校になる可能性がある原因について、「学校生活」の面と「家庭環境」の面から詳しく解説していきます。
学校生活での不登校の原因とは
学校生活で起こるトラブルからくる不登校の原因とその対策を見ていきましょう。
1、いじめ
社会問題にもなっていて、ニュースなどでも取り上げられる事が多い「いじめ」ですが、実際にいじめが原因で不登校になる子供は0.5~2%程度とされていて、全体から見たらそこまで多くはありません。もちろん学校側でいじめと認定されていない事例もあるので、潜在的な数値を加えると、2%よりは多くなることが予想されます。
いじめが原因の場合の対策としては、まず、いじめにあっていると親が気づくことです。子供をよく観察し、話をよく聞くようにしてください。自分がいじめられていることを親に話すことはとても勇気が必要です。子供の些細な変化に気づいた上で、子供の話をよく聞き、もしもいじめにあっていたら学校側と連携するなどして、対応していきましょう。
2、友人間のトラブル
いじめを含まない友人間のトラブルの方が具体的な数値は高く、8~15%となっています。思春期や反抗期など多感な時期にあたるので、友人のちょっとした言動や行動などが引き金になって苦手意識が芽生えてしまう事も少なくありません。これは友人という対等な立場の対人だけでなく、場合によっては教師に苦手意識を覚える場合もあるので、同様に考えます。
この場合の対策としては、対人関係の適度な距離感を教えてあげることです。合う人、合わない人は必ずいるので、自分が疲れない距離の取り方を教えてあげることで、気持ちを軽くしてあげるようにしましょう。
3、学業不振
勉強が難しくてついていけなかったり、テストの点数が思ったように上がらないといった学業不振も不登校の原因の8~9%を占めています。中学になると小学校の時よりも勉強が難しく、高度になり、何より高校受験という一大イベントが控えているので、それに対するプレッシャーも少なからず精神状態に影響を与えます。
この対策としては、やはり学力を上げることが一番になってきます。中学校の勉強は小学校の時にわからないままにしてしまっていた所が原因で、さらにわからなくなってしまう、という事例も多いので、わからなくなった所に戻って勉強し直すことが重要です。家庭教師や個別指導塾などを活用すると学力アップの近道です。
4、甘え、精神的未熟
親と離れるのが嫌で、自立心や精神面などが未熟な場合、苦手な教科や試験、運動などがある日は学校を休みたがります。この場合生活習慣も身につくのが周りに比べて遅くなりがちです。
対策としては、もちろん厳しく躾けるという方法もありますが、無理やりな形ではなく、内面の成長を促すという方法の方が長い目で見たときによいでしょう。家庭と学校側、場合によっては専門機関のサポートなど受けながら、長期にわたって見守っていくようにしましょう。
家庭環境での不登校の原因とは
では次に家庭環境による影響からくる不登校の原因とその対策を見ていきましょう。
1、家庭環境の急激な変化
両親の離婚、リストラなどによる失業といった急激な家庭環境の変化が要因で不登校になってしまう子供も存在し、全体の3~5%にあたります。この場合、離婚や失業が直接的な原因という訳ではなく、離婚や失業によって親が生活的、精神的に余裕が無くなってストレスを感じることで、共に生活している子供もストレスを感じ、親や学校と関わりを避けるようになるという場合が多いです。
対策としては、子供とよく会話し、本音で話し合う事です。親は辛くても、子供に悟られなしように努力してしまいますが、その結果余裕がなくなってコミュニケーションが不足してしまったり、行動や言動がキツくなってしまうかも知れません。子供にそれは伝わってしまいますし、子供も迷惑をかけまいと苦しい気持ちを話せなくなると、悪循環になってしまいます。
2、無気力
実は不登校の理由で一番多いのはこの「無気力」で、小中学生の不登校者全体の25.9%がこの理由を挙げています。どうして無気力になってしまったかは、勉強に疲れてしまった、学校生活が理想と違った、期待に応えようと頑張りすぎた、など様々です。
この場合、無理やりに学校に行かせたり勉強をさせるのは逆効果になってしまいます。まずは休ませて好きなことをさせてあげてください。無気力状態から脱出して前に向かう気持ちを取り戻すのが重要です。ただし、ネットやマンガばかり見て、夜遅くまで起きていて昼過ぎまで寝ているというような生活だと無気力が悪化してしまいますので、規則正しい生活や、散歩や買い物など、外の世界との接触は無くさないようにしましょう。
3、非行や遊び
これも家庭環境が影響してくる原因のひとつで、その割合は全体の9~13%を占めていますので、決して少ないとは言えません。例えば、「家族と仲が悪く、家に居場所がないので悪い友人と一緒にいるようになった」とか「親の干渉が激しく話をしたくない」とか「自分に関心を持ってくれないので、意識を向けさせたい」などの理由が考えられます。
この場合の対策は親の理想を子供に押し付けないことです。問題行動の多くは「理想の子供」であることへの反発であることが多いので、ありのままの子供を認めてあげて、大切にしてあげることが重要です。
4、発達障害、神経症
病気が原因で不登校になってしまう事例も少なくありません。知的能力は問題なくても「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」が上手くできない学習障害LDや、静かにしなくてはならない場所でもどうしても騒いでしまう注意欠陥多動性障害ADHDなどの発達障害と、強いこだわりがあったり、訳もなく不安になる、気分が落ち込む、対人恐怖症などの神経症が原因となります。
どちらの場合も専門家に相談して、家庭、担任教師などと連携し、適切なサポートを行っていく必要があります。
まとめ
不登校になる原因を学校生活、家庭環境のそれぞれの側面から紹介してきましたが、もちろんこれ以外にも原因になりえることはありますし、いくつもの原因が複雑に絡まりあっている場合もあります。また、本人にすら明確な原因がわからないという場合も存在します。
重要なのは子供ひとりひとりの状態を把握して、それに合った対策をしていくということです。不登校になっても未来を明るい物にすることは不可能ではありません。
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