中学生の子供が不登校になってしまい、フリースクールや適応指導教室に通う事にしたが、そのフリースクールにも子供が行きたがらなくなってしまった…。このコラムではそのような時に考えられる理由と解決方法を紹介していきます。
子供がフリースクールや適応指導教室に行きたがらない主な理由
フリースクールは個人や企業、NPO法人が運営している民間の教育機関で、何らかの理由で学校に通うことができなくなった子供の為の施設です。また適応教室はわかりやすく言えば、行政が運営するフリースクールです。フリースクール、適応教室いずれも各施設によって運営形態や理念、特色が異なりますが、カウンセリングや進路相談、体験活動やレクリエーションなど、子供にとって良い影響を与える様々なカリキュラムが用意されています。
まさに不登校の子供の為の専門の施設と言えるのですが、何故、「行きたがらない」という結果になってしまうのでしょう。考えられる理由を見ていきましょう。
1、馴染めない
不登校になってしまった子供は、在籍していた学校でなかなか馴染めず、友達が出来ない、孤立してしまった、先生と合わなかったなどの経験をした場合があります。そうすると、新しい環境になったとしても、その経験から、自分から話しかけれない、輪の中に飛び込む勇気が持てないという状態は何ら不思議ではありません。特に適応指導教室の場合は行政が運営していますから、同じ学校や校区の生徒も通って来ているケースが多く、「学校と変わらない」という印象を受けてしまう子供も多くいます。
一歩踏み出せれば状況の改善は出来ますし、フリースクールや適応指導教室側はその手は差し伸べているはずですが、それに気づけないと不安や恐怖が勝ってしまい、「行きたくない」理由となってしまいます。
2、いじめなどのトラウマがある
在籍校でいじめを受けたり、からかわれた経験がある場合、それが原因となってトラウマや後遺症になっている可能性があり、新しい環境でも不安が付きまとってしまいます。特にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症している場合、パニック状態になったり、うつ病になってしまう場合があります。
周りはそんなつもりはなくても、受け取り方がネガティブになってしまうので、余計な不安に襲われ、「行きたくない」理由となっても不思議はありません。
3、家の方が勉強しやすい
不登校の子供は家が一番落ち着ける場所になってしまい、他に誰かがいる環境では集中して勉強出来ないかも知れません。そもそも不登校児童生徒の子供たちは、「幼稚園の頃から行き渋りがあった」、「もともと家が好きで、外に出るよりインドア派」という子供も少なくありません。
フリースクールのメリットの一つは同じ境遇の子供たちと関わりが持て、居場所が出来ることですが、どうしても人目が気になって勉強に集中出来ない子供は「行きたくない」と思ってしまいます。
4、フリースクールを良く思っていない
在籍校に通って卒業することが正義で、フリースクールは社会的にマイナスだと思っている子供はどんなに良い環境でもフリースクールを好きになれないかも知れません。
実際に子供たちから受ける話で、「フリースクールは学校に行けない不登校の子供が行くところ。自分は今は行けていないけれど、そういう子とは違う」というものがあります。不登校児生徒の多くは二極思考、白黒思考といって、「考え方がゼロか100」になってしまっています。その為、「学校に行くのは当たり前だから、学校に行かなければならない」、「もし、それができないなら、いっそ家から外に出てはいけない」と自分を縛り、しんどくなっている子供もたくさんいます。
つまり、不登校になったことにより、子供は全てのことに自信が持てなくなっています。フリースクールに通っても進学や就職が上手くいかないと思い込んでしまっていたら、モチベーションが下がってしまうのもあり得ます。
5、隠れた精神疾患や発達障害がある
精神疾患や発達障害の中には日常生活や一部の勉強以外では全く健常者と区別がつかないものもあります。もちろん本人も気づく事は難しいので、どうして上手くいかないのか悩んでしまいます。
その場合、環境が変わっても結果が同じになってしまうので、気持ちが前向きになることは難しいでしょう。
子供がフリースクールや適応指導教室に行きたがらないときに親がしてあげられることとは
前述したとおり、フリースクールでも「行きたくない」理由は様々考えられます。ではその時に、親がしてあげられることは何があるでしょう。順に見ていきましょう。
1、子供に合ったフリースクールを探す
フリースクールは施設によって運営方針や理念などが大きく異なります。せっかく素晴らしい方針で運営されていても、子供の個性と合わなければ居心地の良さを感じることが出来ないでしょう。
必ず体験入学やスタッフとの面談を通して、子供の意見も取り入れた上で施設を決めるようにして、無理なく「馴染める」ようにしましょう。通学型以外にも、家庭訪問やオンライン登校に対応しているスクールもあるので、子供に合った形を選択しましょう。
また、子供がPTSDや発達障害、精神疾患などで悩んでいる場合、メンタルケアの専門家が常駐しているフリースクールもあるので、カウンセリングを受けたりパニックになったときに対応できたりと、安心出来る施設も選べます。
2、子供に寄り添う
子供に寄り添って、何を考えているか、どう感じているかなど共有できるようにしてください。なかなか話したがらない子供もいるとは思いますが、親が寄り添う姿勢を見せれば、子供も徐々に心を開いてくれることでしょう。
よく「待ってあげることが大事」という話も聞きますが、待ってあげることと、寄り添ってあげることは両立できます。「待ってあげなければいけないから、何も話ができない」ではなく、話をしながら、「焦らせるつもりはないよ、ゆっくり過ごそう」と、本人の状態を見守ってあげましょう。そのうえでフリースクールのメリットやこれからのことなど、話し合っていければ、子供も前向きに通う気持になってくれるでしょう。
3、フリースクール以外の選択肢も考える
どうしても通えない、家の方が落ち着いて勉強できるという子供には、無理にフリースクールを勧めるよりも、他の選択肢を一緒に考えた方がいいかも知れません。
最近では自宅でも勉強しやすいような教材や、インターネットを利用したオンラインの授業や塾などもあります。上手に活用すれば効率的な勉強も可能です。
フリースクールの中にも通う頻度を選べたり、自宅で勉強できるようなコース、バーチャル空間のメタバース上で授業や同世代、先生との会話やグループワークを楽しめるコースを設けているところもあるので、次項で詳しく解説します。
子供に合ったフリースクールの選び方
ではどのようにフリースクールを選べば良いのでしょうか?スクールの形態と合わせて見ていきましょう。
1、通学タイプ
通常の学校と同じように平日通学するタイプです。元の在籍校との相性で不登校になってしまい、他の学校なら通える場合、有効と言えます。家庭以外の居場所が欲しい、同年代の友達が欲しい、色々な行事に参加して思い出を作りたい、という子供に向いていると言え、施設によっては週に何日通うかなど、通う頻度も選べる場合があります。
コンセプトも居場所だけを提供し、カリキュラムのない「居場所型」、古民家などを利用して農業体験や酪農体験、プログラミング体験などが用意されている「体験型」、学校のように時間割があり、授業を展開している「学校型」など様々です。
2、在宅タイプ
通学するのは難しい、家で勉強したいという子供の為に、先生が自宅に来て授業をしてくれる「訪問支援」のコースや、ICT教材を活用したネット学習のコースを選べるスクールもあります。自宅から出れなくても、家族以外の人と接するのは重要ですし、社会との接点にもなります。通学が無理でも高校卒業の資格が欲しい人にもお勧めできます。
3、オンラインタイプ
バーチャル空間に作られたメタバースのキャンパスやビデオ会議ツールを使用して、オンライン指導を受講できるタイプです。
使用している教材によっては、オンライン上の授業が中学校の出席認定として認められるケースもあり、自宅から出られないが複数人のグループでの人間関係を持ちたい、離島や一部地域、海外に在住で近くにフリースクールがないといった人にお勧めです。
4、ハイブリッドタイプ
通学や在宅、オンラインを併用するタイプです。どうしても連続して通学できない子供に向いていると言え、気分転換にもなるのでモチベーションの維持もしやすいです。その時の精神状態に左右されやすかったり、自宅で集中して勉強したいけど学校行事にも参加したい人にもお勧めできます。
まとめ
子供がフリースクールに行きたがらない理由と対応を見てきましたが、子供によって理由も対応の仕方も様々です。まずは子供に寄り添い、しっかりと理解したうえで、一番合った通い方の出来るフリースクールを探してみてください。
WILL学園は通学、在宅、メタバース、ハイブリットなど子供に合った通い方を選べます。集団学習が苦手な子への個別のサポートも充実していますので、是非お気軽にご相談ください。
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