不登校についてメディアなどで取り上げているのを目にすることが増えたように感じませんか?実際不登校の小中学生は増え続けていて、過去最多を更新し続けています。この記事では不登校の児童生徒の具体的な人数、不登校の原因と親の対処法を紹介していきます。
不登校が増えているってホント?
「不登校」の文部科学省による定義は、「年間30日以上登校できなかった児童生徒」のことを指します。メディアなどで取り上げられることが増えたのは、年々不登校の児童生徒が増え続けており、過去最多を更新しているからです。
実際に文部科学省が公表した2022年度の小中学校における不登校の児童生徒数は約29万9千人でした。これは10年連続で過去最多を更新しており、この2年間で一気に約10万人増加しています。35人の学級に換算すると、1クラスに1人の不登校の子供がいる計算になります。
では、なぜこの2年間で急増したのでしょうか。不登校の理由はひとりひとり異なりますが、文部科学省は「コロナ禍の長期化で生活環境が変化し、学校生活のさまざまな制限で交友関係が築きにくくなったこと」などが背景にあると分析しています。
現在、コロナは終息しつつあり、日常的にマスクをすることをやめたり、様々なイベントが再開されています。しかし、子供の心はそう簡単には回復せず、一度途絶えてしまった友達や先生とのコミュニケーション、学校生活を楽しむことが取り戻せないケースが多く存在しています。
不登校の原因とは
不登校になってしまう原因は様々です。ここでは代表的なものを「学校生活」の面と「家庭環境」の面から見ていきましょう。
学校生活
学校生活に起因する不登校の原因には、「友人関係のトラブル」、「学業不振」、「甘えや精神的未熟」が考えられます。
「友人関係のトラブル」は、過去の統計によると原因の8〜15%を占めています。思春期や反抗期など、多感な時期にある小中学生は、ちょっとした友人の言動や行動がストレスになることがあります。これは友人だけでなく、教師にも同様で、担任の先生に苦手意識を持つ子供もいます。また、「いじめ」が原因の場合もあります。
「学業不振」は、授業についていけない、成績が思うように上がらないことが原因で、全体の8〜9%を占めています。私立の進学校を受験するケースが増え、合格したものの授業の進みの速さや宿題の量にプレッシャーを感じることもあります。
「甘えや精神的未熟」は、親離れできていない子供が苦手な教科やテスト、体育の授業などで学校を休みたがることを指します。精神的な自立ができていないため、生活習慣が身につくのが遅いことが原因です。
家庭環境
不登校の原因として家庭環境に起因するものは「環境の急激な変化」、「無気力」、「非行や遊び」、「発達障害、神経症」などがあります。
「環境の急激な変化」は、両親の離婚やリストラなど、家庭環境が急激に変わることが原因で、全体の3〜5%を占めます。環境の変化と共に親がストレスで余裕がなくなることも影響します。
「無気力」は実は不登校の原因で一番多く、全体の25.9%を占めます。勉強に疲れたり、学校生活が理想と違ったり、親や周りの期待に応えようと頑張りすぎた結果、無気力になってしまう事例が多いです。
「非行や遊び」は全体の9〜13%を占め、家族との仲が悪い、親の過干渉、親の注意を引きたいなどが原因で、悪い仲間ができて学校に行きづらくなることがあります。
また、「発達障害、神経症」などの病気が原因で不登校になることもあります。学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など、認知度が少しずつ上がってきています。
このように学校生活や家庭環境に起因する不登校の原因は様々です。もちろん学校の先生の中には、不登校の子供が増え続けていることに対応しようとしている先生も多いですが、小中学校の先生は生徒の学力、生活態度、人間関係、クラス行事など全てに目を向ける必要があり、昨今の人員不足と環境の複雑化で対応が難しくなっています。学校だけで解決するのは難しい現状です。
学校の先生は「クラス運営」のプロフェッショナルであり、不登校解決のプロフェッショナルではないということを忘れてはいけません。若い先生を中心に教員の働き方改革として部活動を民間の団体にアウトソーシングするなどの動きがあり、不登校の子供に対するケアもフリースクールやスクールカウンセラーなどのプロフェッショナルと連携しようという気運が高まっています。
親が子供に対してすべき適切な対応とは
子供が不登校になってしまった時に親がすべき対応をいくつか紹介します。
子供とたくさん話す
まずは子供とたくさん話すことが重要です。ただし、不登校の理由を無理やり聞き出そうとしたり、勉強や生活習慣などを強制してはいけません。
不登校になってしまった子供は精神的に疲れきった状態ですので、他愛のない話や世間話など、子供を落ち着かせ、元気を取り戻すことを最優先にしてください。「何でも話せる」、「話を聞いてくれる」という環境を作ることが大切です。
家に居場所を作る
不登校になると家にいる時間が増え、自室に閉じこもりがちです。ちょっとした家事を頼んだり、家族としての役割を与えることで、学校に行っていない後ろめたさを緩和することができます。
学校と連絡を取り合う
家庭だけで抱え込むと孤立し、親も疲れてしまいます。学校と連絡を取り合い、授業の進み具合、テストの時期や範囲、進級や進路、出席日数などを相談しましょう。
不登校の専門家に相談する
不登校の専門的な機関も様々あります。公的な機関として「子育て相談窓口」「児童相談所」「教育支援センター」「発達障害支援センター」などがあり、民間の機関として「不登校の親の会」「フリースクール」「不登校対応の塾、家庭教師」などがあります。
専門家からのアドバイスや情報は非常に有効です。また、中学、高校生であれば通信制高校への進学や転校という選択肢もあります。子供の特性に合わせたサポートが受けられる有効な選択肢です。
まとめ
不登校の児童生徒は年々増え続けていますが、それに対応するための様々なサポートも充実しています。
原因や環境は子供ひとりひとり異なるため、最善の方法を探していくことが重要です。
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