近年社会問題として広く認知されるようになった「引きこもり」と「不登校」。詳しい定義や違いを知りたいという人の為に、この記事では引きこもりと不登校の違い、その原因や解決法まで詳しく解説していきます。
引きこもりと不登校の違いとは
まずはそれぞれの定義や違い、基本的な知識を紹介します。
1、引きこもりの定義
「引きこもり」とは、疾患や障害、病名などではなく、あくまで「現象」の名称です。厚生労働総によれば「様々な要因の結果として、社会的参加を回避し、原則的には6か月以上にわたっておおむね家庭内にとどまり続けている状態を指す現象概念」のことを指して使われます。
この為その実態は様々で、年齢層も幅広く、中高年、主婦などにも見られ、年々増加していると言われています。また、引きこもりになってから7年以上経過しているという事例が全体の5割というデータもあり、長期化する傾向にあることもわかってきています。
このように引きこもりは年齢、職業、性別など関係なく、様々な要因でなり得、深刻な社会問題となっています。国は近年、引きこもりの支援施策として、「引きこもり支援推進事業」を打ち出し、「引きこもり地域支援センター」が設置され、就労支援やメンタルケアなどに取り組んでいます。
2、不登校の定義
「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の不登校の定義は「何らかの心理的、情緒的、身体的若しくは社会的要因又は背景によって児童生徒が出席しない又はすることができない状況(病気又は経済的理由を除く)」となっており、文部科学省が定める定義だと、これに「年間30日以上欠席した者」という文言が加えられています。
つまり、病気や経済的理由を除いた何かしらの理由で、30日以上欠席していれば、不登校に該当するということです。平成9年以前は50日以上の欠席でしたが、不登校の定義の名良化に伴い30日以上の欠席になりました。
また、以前は「登校拒否」という呼び方も存在しましたが、児童生徒が登校を拒否しているのではなく、様々な理由から「行けない」ケースも多く存在することから、不登校という呼び方が一般的になりました。
3、引きこもりと不登校の違い
引きこもりと不登校は一見似た言葉に見えますが、対象年齢の有無という点で異なります。
不登校は小学生~高校生の学校に行かない(行けない)児童生徒を指すのに対し、引きこもりは6ヵ月以上続けて引きこもっていれば、年齢、性別、職業などは関係ない広義な定義となっています。そのため、不登校からの二次障害として引きこもり状態に陥るケースも存在します。6ヵ月という長期間を前提としていることも特筆すべきと言えます。
引きこもり、不登校の原因
前述のとおり、引きこもりと不登校は定義が異なっています。ですが、原因に共通項が多いのも事実です。代表的なものを紹介させていただきます。
1、不安、情緒不安定
進級、進学などによって環境が変わって、登校するのにエネルギーが必要になったり、思うように成績が上がらない、勉強についていけなくなってしまったなどの学業不振からくる不安などにより、ストレスが溜まってしまう場合があります。
特に思春期に当たる小学校高学年〜中学、高等学校の時期は感情のコントロールが出来なくなってしまったり、情緒不安定になりがちです。普通なら気にならない程度の家庭環境の変化などでも大きく影響してしまうこともあります。また、少子化が進む中で親離れできない子供、子離れできない親も増えてきていて、精神的に依存してしまい、家から出たくなくなる、といった事例も少なくありません。
2、無気力
文部科学省が行っている不登校に関する調査でも、不登校理由として最も多く挙げられたのが「無気力」で、小中学生の不登校者全体の25.9%がこの理由を挙げています。
どうして無気力になってしまったかは様々で、勉強に疲れた、学校生活が理想と違った、期待に応えようと頑張りすぎた、などが挙げられます。
この無気力な状態を放置してしまうと、社会からも孤立してしまい、自室に引きこもってしまう可能性は十分にあります。
3、人間関係
思春期や反抗期などの多感な時期においては、友人のちょっとした言動や行動が過度に気になり、苦手意識を持ってしまうことも少なくありません。勿論それは担任の先生や他の教職員に対しても同じ事が言え、一度苦手意識を持つと、なかなか払拭できずに学校に行きたくなくなってしまいます。
人間関係として問題になる事例が多い「いじめ」に関しては、文部科学省の調査によると、不登校の原因としてはそこまで多くの割合を占めてはおりません。ですが、学校が把握していないものや、水面下で行われている陰湿ないじめなどを考えると、上がってきている数字は氷山の一角と言えるでしょう。
また、上記とは逆に悪い友達と仲良くなってしまい、非行に走ってしまう、家族と仲が悪くなってしまうなどのケースも存在します。元の生活に戻れなくなってしまうと、社会から孤立してしまうかも知れません。
4、発達障害、神経症など
病気が原因で不登校になってしまう事例も少なくありません。知的能力は問題なくても「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」が上手くできない学習障害LDや、静かにしなくてはならない場所でもどうしても騒いでしまう注意欠陥多動性障害ADHDなどの発達障害と、強いこだわりがあったり、訳もなく不安になる、気分が落ち込む、対人恐怖症などの神経症が原因となります。
程度が軽いと本人や家族ですら気づかない場合もあるので、注意が必要です。
引きこもり、不登校の解決法
子供が引きこもりや不登校になってしまったとき、一番身近な存在である親にどのようなことができるか。順に見ていきましょう。
1、子供の話をよく聞く
やはりまずは原因を知ることが解決への近道と言えます。しかし、引きこもりや不登校はデリケートな問題なので、無理やり原因を聞き出そうとすると、逆効果になってしまいます。
まずは会話をたくさんすることで何でも話せる「信頼関係」を築きます。日常会話や世間話の延長で、悩みの相談などしてくれるように環境を整えていきましょう。
子供が話してくれるようになったら、否定せずに共感して受け止めてあげることが大切です。
2、子供を焦らせない
引きこもりや不登校は少しずつ改善していくものです。勉強のこと、将来のこと、色々気になって焦る気持ちは当然ですが、親が焦ってしまうと子供にも伝わってしまいます。
無理をさせず、強要させず、まずはゆっくり休ませることが重要です。しっかり向き合って子供の状態を見ながら対応していきましょう。
3、周りに頼る
親と家庭だけで抱え込んでしまうと孤立してしまい、どんどん疲弊していってしまいます。学校の担任や他の教職員、専門のカウンセラーやサポート機関など、情報を集めて遠慮せずに頼っていきましょう。
特に専門家からの情報やアドバイスは有効なものが多いので、子供の状況にあった専門家やサポート機関を探しましょう。
まとめ
引きこもりと不登校は定義に明確な差がありますが、原因や対象法は共通したものもたくさんあります。
重要なのは原因をしっかりつきとめ、適切なサポートをしていくことです。その為に、焦らずじっくりと向き合ってみてください。
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