引きこもりは現代では社会問題にまで発展し、世間的な認知度も上がっています。引きこもりになる年代も子供から大人まで幅広く、その原因も多種多様です。この記事では子供が引きこもりになってしまう原因と、親が取るべき対応、更には解決の方法まで、詳しく解説していきます。
子供が引きこもりになってしまう原因
引きこもりとは「社会的な活動や、人との交流を極端に避け、長期間家や部屋の中に閉じこもる状態」を指し、厚労省では引きこもりを「様々な要因の結果として、社会的参加を回避し、原則的には6か月以上にわたっておおむね家庭内にとどまり続けている状態を指す現象概念」と定義しています。
子供が引きこもってしまう原因やきっかけは様々で、人によって違うと言えますが、単純に本人の性格や甘え、子育ての仕方に原因があるとは言い切ることはできません。令和元年版の「子供・若者白書」では、引きこもりになったきっかけは「退職したこと」、「人間関係がうまくいかなかったこと」、「病気」、「職場になじめ なかったこと」が多いという調査結果が出ています。
子供を取り巻く環境は成長と共に変化し、勉強やスポーツで結果を出すことを求められたり、精神的自立、同級生や先生との円滑なコミュニケーション、集団の中で立ち回るスキルなどが必要になってきます。
更には進級や進学、就職が視野に入ってくる訳ですから、様々なプレッシャーやストレスにさらされながら生活していると言えます。
このような生活の中で、心と身体のバランスが崩れてしまった時、子供は外での居場所を失ってしまい、家に引きこもることで社会のプレッシャーやストレスから「回避」をします。
これはどんな子供にも起こる可能性があると言えます。引きこもる原因の具体的な例を見てみましょう。
1、人間関係
子供の人間関係と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは「いじめ」だと思います。社会問題として色々な施策が実施されてきましたが、抜本的な解決は難しく、しばしば話題に挙がってきます。
いじめ以外にも先生やクラスメートとの人間関係、家族との人間関係なども挙げることができますし、思春期の多感な時期には、些細なことが原因で人間関係が悪化する場合があります。また、思春期の多感な時期ということもあり実際の人間関係は特に問題を抱えていないが本人の認知・認識において「うまくいっていない」と感じるなどの問題もあります。
2、学業不振
例えば小学生の頃はクラスで一番成績が良く、テストでも良い結果を残せていた子供でも、中学校で環境が変わって成績が思うように上がらなくなったり、他の子供にテストで負けてしまったりと「挫折」の経験によって引きこもりになってしまう可能性があります。小学校で単元ごとで実施されるカラーテスト(業者テストともいう)は平均点が80〜85点といわれます。
これに比べて、中学校以上で実施される中間テスト、期末テストなどの定期テストは平均点が55〜60点ほどと、大幅に下がります。
持ち得ている能力は上下していないが、評価が下がるという経験で自己肯定感が下がる子どもも少なくありません。
進学校に進んだ場合、特に授業の内容や勉強の質が急激に難しくなったり、課題や宿題の量も多くなります。頑張ってもどこかで疲弊してしまうかも知れません。
3、無気力
子供が不登校になる理由の第一位として挙げられている「無気力」という状態は、様々な要因が絡み合っていることが多く、どんな子供にも起こり得ます。
何もやる気が起きなくなってしまうと、一日中部屋に閉じこもって漫画やゲーム、SNSなどに時間を費やすようになり、外界のことに興味がなくなってしまいます。
4、発達障害
近年では引きこもりの原因に発達障害が影響しているという例も多く報告されるようになってきました。
発達障害を持っていると、他者との会話の理解や意図をくみ取る事、状況に合った適切な対応などが苦手な為に、違和感や被害感を抱きやすく、社会への恐怖感を感じてしまうことも少なくありません。生活習慣を変えたり、予期せぬ事態への対応力を身に着けることに時間がかかってしまうため、引きこもりが長期化してしまう事例も存在します。
親がすべき対応
引きこもりになってしまう原因を見てきました。では、子供が引きこもりになってしまった時に、親がすべき対応と、逆にやってはいけないことを見ていきましょう。
1、子供の気持ちを理解する
身近な存在である親だからこそ誤解しやすいのですが、子供は「怠けたいから」、「甘えていて」引きこもっている訳ではありません。「引きこもりを辞めたいのに辞めることができない」と悩んで苦しんでいます。
この時、無理やりに学校に行かせたり、引きこもってしまった理由を強引に聞きだそうとしてはいけません。勉強の遅れや出席日数など焦る気持ちはもちろんですが、子供の気持ちを理解して、まずは受け止めてあげることが大切です。
2、安心して過ごせる環境を作る
自室に閉じこもって昼夜逆転の生活をしているとなると、注意して辞めさせたくなるのも当然です。ですが、無理やりに修正しようとすると、状況は悪化してしまいます。
世間話などで構わないので、積極的に会話をするようにしてコミュニケーションを沢山取りましょう。信頼関係を築くことで、家は安心して過ごせる場所になります。慣れてきたら家族の中で簡単な役割を与えることで、引きこもっている後ろめたさからも解放してあげることができます。
3、家庭が孤立しないようにする
引きこもりになってしまうのは子育てに原因がある訳ではありません。ですが、世間の目が気になってしまうという親御さんも少なからずいらっしゃいます。
親が疲弊してしまったり、家族で家に閉じこもってしまうようになると、外界との接点が無くなってしまい、状態は悪化してしまいます。
引きこもりが社会問題として認知度が上がっている昨今では、様々な相談機関やサポート機関が存在し、子供の個性や家族の状況に合ったサポートが受けられます。情報を集めて、積極的に頼ることが改善の近道です。
引きこもりの解決方法
引きこもりの原因と親がすべき対応を見てきました。ここでは具体的な解決法を見ていきましょう。
1、環境を変える
人間関係が原因で引きこもっている場合、環境を変えてあげることで改善する場合があります。
例えば「いじめ」が原因の場合、学校側と相談することももちろん有効ですが、他の学校に転校、編入するなどして環境を変えることで、改善が期待できます。先生や友人などの「人間関係のトラブル」の場合も同様で、苦手なものから距離をおいて、環境を変えることが重要となります。
2、勉強の仕方を変える
学業不振で引きこもっている場合、やはり学力アップが鍵となってきます。集団授業だと、個人の理解度に関係なくカリキュラムに沿って進んでいくので、どうしても取りこぼしてしまう場合があります。
個別指導塾や家庭教師などを活用することで、わからなくなった場所まで立ち戻り、理解を深めてから進むことで、学力アップが期待できます。
3、しっかり休養を取る
「無気力」は心身ともに疲れ切って、気力が無くなった状態です。これが原因で引きこもってしまった場合、まずは無気力状態からの脱出が必要です。
しっかり休養をとり、好きなことをさせてあげましょう。慣れてきたら少しずつ規則正しい生活を心がけ、散歩をするなど外界との接触をしていきます。気持が外に向くようになってきたら、次へ向かう気力が戻ってくるでしょう。
4、専門家に相談する
病気や発達障害が原因の場合、家庭で孤立してしまっては正しい対応ができません。
現在では公的、民間ともに様々なサポート機関が存在しているので、情報を集めて、子供と家庭に合ったサポートを受けるようにしましょう。
まとめ
子供が引きこもりになってしまう原因と親がすべき対応、解決方法を見てきました。
重要なのは子供としっかり向き合って、理解すること。子供にあった適切な対応をすることです。
その為に情報を集め、適切な支援を受けれるサポート機関を見つけることが解決への近道です。
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